過硝酸(HOONO2)溶液による殺菌は高殺菌力と生体安全性を備えた従来に無い手法で、基礎原理が権利化済の世界初の技術である。医療機器滅菌で想定している芽胞菌を数秒で殺滅する濃度の10倍でも、経口毒性と皮膚感受性の動物実験で問題が無く、滅菌レベルの殺菌剤を生体に利用が可能であり、新規市場の開拓が期待できる。原液を3000倍希釈してもオキシドール(過酸化水素3%)相当の殺菌力を有し、従来の殺菌剤よりもコストが低い。アカデミアならび医療、農業、食品など様々な企業が参画できるコンソーシアムという枠組みを作りました。
Hack Osakaで発表した動画が下記から見れます。・医療機器の殺菌消毒(短時間で滅菌)
・人体の消毒(歯科、外科手術、褥瘡等)
・農作物の殺菌(カット野菜、スプラウト食品、種子等)
・食品製造(食品・飲料容器、食品加工機械、食肉、加工食品等)
過硝酸はモル当たりの殺菌力が非常に高い。チックワトソンの法則から、殺菌力は濃度と時間の積で示されるのですが、同条件で他の殺菌剤との殺菌力の比較を行いました。化学合成で得られた1Mの過硝酸は、過酸化水素で10,000%相当の殺菌力を有していることがわかりました。実際の応用では、必要な濃度まで希釈して利用します。
次亜塩素酸やオゾンといった殺菌剤は、有機夾雑物の影響により濃度が低下してしまい殺菌力が落ちてしまうと言う問題があります。過酸化物構造を持つ過硝酸も有機夾雑物と反応はしますが、反応速度はかなり小さいという特徴から、汚れ環境下での殺菌も得意としています。血液濃度よりも濃いタンパク質を含む溶液中で、芽胞菌の無菌化も問題なく行う事ができます。
OECD毒性試験ガイドラインに準拠した動物実験を実施。
TG420:急性経口毒性試験
TG404皮膚刺激性試験
H2O2で1,000%相当の過硝酸(100mM)でも問題無く、従来の殺菌剤のコンセプトを覆します。このように従来の殺菌剤と比べて、安全性と殺菌力の比で圧倒的に優れています。これまで生体へ使えなかった高い殺菌力を有する薬液を消毒に利用可能であると考えています。
大阪大学工学研究科動物実験委員会承認番号29-7-0
過硝酸は室温では数分程度の半減時間となっており、分解生成物は硝酸と酸素となります。モル当たりの殺菌力が非常に高いため、分解生成物の硝酸の濃度は非常に低く、ほうれん草と同等です。そのため、基本的にはそのまま排水しても問題ないと考えています。
【請求項1】化学反応によって得られた過硝酸(HOONO2)を含む液体を、pH4.8以下の酸性条件下で、殺菌対象に適用する、ことを特徴とする殺菌方法。
日本国特許第6087029号 (登録日 2017/2/10)
米国特許 US10499648B2 (登録日 2019/12/10)
ヨーロッパ特許(仏、独、英、伊、西) EP3189857B1 (登録 2021/1)
過硝酸の濃度を測定する新規手法です。工業的に必要とされる濃度モニターの方法として利用が期待できます。未公開の特許のため、詳細を知りたい方は個別にお問い合わせください。
特願2018-225975(2018/11/30出願)
過硝酸をミスト化して大容量の空間を殺菌する新規手法です。過硝酸ミストを用いる事で過硝酸ガスを安定して維持することを可能とします。100Lの容器内に設置した不織布入りバイオロジカルインジケーターの無菌化も速やかの行えます。
特願2021-214560(2021/12/28)
未公開の特許のため、詳細を知りたい方は個別にお問い合わせください。
特願2023-104201(2023/6/26出願)
冷凍すれば保存・輸送は可能ですが、合成が簡単なので、現場で合成して使うというのが便利かと思います。その途中でいったんリザーブ用に保存しておく時に低温で保存しておくのはありかもしれません。
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