1. diamag君とその仲間達
diamag君はみなさんご存じのとおり排除磁場と言われるものを測定するものです。この排除磁場を測定することによりプラズマの情報を得ることが出来ます。その辺の詳しいことはそこらの修論やら卒論を見といて下さい。では、簡単にdiamag君とその仲間達の紹介をしましょう。
diamag本体
コイル・・φ0.3ホルマル銅線 コイル芯・・φ10シンフレックスチューブ36mm
周波数特性改善用ホイル・・・0.01mm真鍮ホイル 18mm×40mm
静電シールド用ホイル・・・0.03mm銅ホイル 18mm×35mm
コイル本体はシンフレックスチューブにホルマル線を50ターンを二層巻きにし、計100ターンのコイルになっている。このコイルはそのままでは600kHzあたりで共振を起こしてお話にならなくなるので、周波数特性改善用ホイルを巻いている。
信号線・・・φ0.3ホルマル銅線
信号線はそこらに飛び交っているノイズをなるべく拾わないようにツイストされている。
積分増幅器
コイルからの出力は磁場の微分の形ででてくるので、積分してやらないと磁場を見ることができない。そこで積分器を挟んでやるのですが、単に積分してまうと出力がちっちゃなってしまってS/Nが悪くなって何をみているやら・・・となってしまうので増幅も一緒にしている。時定数は94msec。
KE
積分器からの出力を98が読めるようにAD変換しているヤツ。なかなか気むずかしいやつでなんか気にいらんことがあるととんでもないデータを出したりするお茶目なヤツ。
2. diamag君の製作
ここでは適当にdiamagの作り方について述べる。あくまで適当に・・・
2.1 コイル本体
まず上に書いた材料を用意する。それを持って入射プラズマ実験棟、通称入プラに行く。ここまで来たらもうできたも同然!後はコイルを巻くだけ。入プラに落ちてるコイル巻き専用のパソコンの電源をいれる。入れたら"load coiler"と入力してさらに"run"とする。周辺の電源も忘れずにいれる。するとコイル巻きが出来る状態になってくれる。適当にホルマル線を余らせておいて後は思う存分に100ターン巻いてくれればよい。100ターン巻けたら余らせたホルマル線を手でツイストしておく。その上からニトフロンテープを巻く。さらに周波数特性改善用ホイルを巻く。もう一度ニトフロンテープを巻く。その上から静電シールド用ホイルを巻く。完成!
2.2 ツイスト線
今度はホルマル線とスライダックを持って工作室に行く。黄色いドリルみたいなやつにプロペラをつけて、プロペラに3m50cmのホルマル線をつけ電源をスライダック経由でとって適当な電圧にしてツイストしてやる。あまりぐいぐい回さないこと。出来たらツイスト線とコイル本体をつなげる。
3. 較正方法
diamagに限らず測定装置を使うときはその測定装置が信用できるのかどうか、ということを先に調べる必要がある。ここではdiamag関連の較正にかかわる部分を説明する。
3.1 diamagの周波数特性について
一般的に回路には共振現象がある。測定をする際に共振があるとその周波数帯の変なノイズが増幅されて、信号を見ているのかノイズがでかくなったヤツを見ているのかさっぱり分からなくなる。そこで共振の有無を調べる必要がある。
上図の抵抗は電流モニター用の抵抗である。磁場強度は当然電流に比例する。始めは抵抗を並列につないでいたのだが、並列につなぐと電圧を見ていることになってしまい電流を見ていることにならない、ということなので直列に変更した。電流モニター用抵抗は5.1オームを使用していた。
3.1 積分増幅器の時定数と増幅率について
積分器に振幅Vの矩形波電圧を加えたときコンデンサーCの端子電圧は初期電圧を0とすると、
と表せ、時間とともに入力電圧Vに近づく波形となる。このことを利用して積分増幅器の時定数と増幅率の測定を行うことができる。積分増幅器では上の式に増幅率を掛けなければならないが、アンプ電源電圧より高い出力は出ないことに注意しよう。では、実際の作業のお話・・・
まず、矩形波入力は直流電源(バッテリー)を拾ってきてそれを瞬間的に手でスイッチングすることにより得られる。矩形波入力はこのままではでかすぎて信号が飽和してしまうので、50mV程度に分圧して入力信号とする。この入力と積分増幅器からの出力をデジタルオシロに取り込み、フロッピーにセーブする。その出力波形をIgorでフィッティング(f=a+bexp(ct))してごちゃごちゃ計算すると時定数と増幅率を求めることが出来る。
4. こんなときどうすんねん
さて実験をしてみたもののなんかdiamag信号がおかしいとかいうことになったらどうするのでしょうか。今までに起こった現象とその対処法について書いておきます。ただし、対処法はかなりシャレです。
その他、詳しいことが知りたい人は松本(拓)、松元、もしくは頼りになりそうな先輩方に聞くことをお勧めします。