「ヘテロダインフィードバック法による

光ファイバー温度センサー」

序論

光の周波数は非常に高く、光の周波数に追随できる検出器は存在しないため、光の位相は直接測定できない。そこで、測定したい光に、わずかに異なる周波数の光を干渉させたビートを検出することにより、測定したい光の強度、周波数、位相などの情報を測定することができる。この手法を光ヘテロダイン法といい、様々な応用が研究されている1)。もっとも数多く研究されているのは、干渉計の光路差の高精度な測定である2)。ビート周波数が一定であれば、参照光と信号光のビート間の位相差の変化を測ることにより、干渉計の光路差の変化を10-10mという高い精度で測定できる。しかし、ビート信号間の位相差を計測しているので、波長以上の光路差の変化は検出することができない。

この測定範囲を広げる方法として、ヘテロダインフィードバック法が提案されている3)。光源として、軸ゼーマンレーザーにかける磁場を可変にした、ビート周波数可変の軸ゼーマンレーザーを用いる。光ヘテロダイン干渉計測では、参照光と信号光の位相差が、干渉計の光路差だけでなくビート周波数にも依存することを利用する。干渉計の光路差の変化によって生じる、ビート信号間の位相差の変化を打ち消すように、ビート周波数をフィードバック制御する。そのビート周波数を読みとることで、干渉計の光路差を測定することができる。

本研究では、ヘテロダインフィードバック法を、光ファイバー温度センサーに応用した4)5)6)7)8)9)。マッハツェンダー干渉計に入れた光ファイバーの温度変化に伴う伸縮を、ヘテロダインフィードバック法を用いて計測をすることにより、温度変化を測定した。この結果、従来の光ヘテロダイン法を用いた場合に比べ、大きな温度の変化を測定することが可能になった。

 

河田研にはお世話になりました。